見出し画像

娘の結婚相手は麻雀を見てから!チェックポイントは…

 ジジババの面白エピソードを、各地のマージャン教室や大会に積極的に参加している「雀聖アワー」福山純生氏が振り返る当コラム。今回はややふくよかなご婦人2人のエピソード――。

×     ×     ×

東1局

「彼氏の性格は麻雀を見ればわかる」

 こう豪語するのは、御年64の麻雀好きご婦人。発声も体格も大らかで、オペラ歌手の森公美子に若干似ている。

 覚えたきっかけは教室。以来虜になり、今では生徒ではなく講師を務めるほど。

 そのご婦人には20代の箱入り娘が1人。彼氏を連れてくるたびに、ご婦人の麻雀チェックが入る。チェック項目は3つ。

 ①フリ込んだ後に自分の手牌を披露して言い訳を始める男

 ②流局時、聞いてもいないのに説明を始める男

 ③負け始めるとふて腐れる男

 このうちのどれかに当てハマる場合は、付き合いを考え直すように諭す。どれにも当てハマらない場合は結婚を勧めるという。言い得て妙。確かに卓上では、年齢差に関係なく性格が発露しやすい。

 その話を聞いていた折。ふと気がつくと、チェック項目すべてに当てはまるジジイがご婦人の後ろに座っていた。御年69。本当は三暗刻サンアンコウにしたかったんだけど、リーチして出ちゃったからロン」「テンパイしてたから、フリ込んでもしようがない」などなど、「本当は…」「しようがない」が常套句で有名な、うるさがられているジジイだ。

 後日。ジジイの常套句がピタリとやんだ。くだらない言い訳を一切しなくなったのだ。おそらくご婦人の話に聞き耳を立て、自分を見つめ直したに違いない。

 でもそんな簡単に直せるものだろうか。ジジイは独身。好きなタイプは柳原可奈子と言っていたことがあったが、まさかご婦人の娘さんを意識してのことか、それともそのご婦人を狙っているのか。人生何があっても不思議ではない。考えすぎだろうか。


東2局

 その御婦人。御年62。愛嬌のあるぽっちゃり系。

 麻雀を始めたきっかけは友人の誘い。「老後のために麻雀やってみない? 認知症予防にもなるらしいわよ」。3年ほど前に近所の麻雀教室へ。今では毎週大会に参加するほどのハマりよう。点数計算表とにらめっこしながら申告をしている姿を見ると真面目な性格が伺える。認知症予防になっているかどうかは定かではないが。

 ただ、ぽっちゃり御婦人には気になることがあった。

 同卓者が〈一発〉でアガると「まあ!」と言って目をそむけ、頬を赤らめるのだ。

 自分がリーチをかけて〈一発〉でアガったときも「リーチ一発」ではなく「リー即」と発声する。〈一発〉と〈即〉は同義。70歳以上のジジイ世代には〈即〉と発声する御仁は多いが、教室で〈即〉と習うことはまずない。〈一発〉に何か思うところがあるのだろうか。真相が気になり、それとなく尋ねてみた。

「教室の先生から言われたのよ。女性が『一発!』なんて言うのは、はしたないからやめなさいって。理由を聞いたら〈一発〉=〈イッパツ〉。男性にとっては、イヤらしいことを連想させ、同卓者にそういう女性なのかと誤解を招くからって」

 そんなマヌケなやりとりがあったとは! まさに〝インプリンティング(刷り込み)〟。生まれたヒヨコが、最初に見た動くものを親と認識してしまう現象と似ているではないか。

 聞けば先生とやらは御年71のジジイ。刷り込み妄想、恐るべし。アンタがいちばんイヤらしいよ。

◆福山純生(ふくやま・よしき)1970年、北海道生まれ。雀聖アワー主宰。全日本健康麻将協議会理事。健康麻将全国会新聞編集長。好きな役はツモ。


カッパと記念写真を撮りませんか?1面風フォトフレームもあるよ