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農水省が「フライドポテトを家庭で作るときのアドバイス」を出しているワケ

フライドポテトをめぐるニュースが話題です。日本マクドナルドは9日から全国の店舗でマックフライポテトのMサイズとLサイズの販売を休止し、現在はSサイズのみを販売しています。また、朝マックに欠かせない「ハッシュポテト」も一部の店舗で販売を休止しており、こちらも新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界的な物流網の混乱や船便の経由地であるカナダのバンクーバーでの水害などでポテトの輸入が遅れていることが要因です。ちなみにハンバーグレストランの「びっくりドンキー」も14日から31日まで全店舗でフライドポテトの販売を休止することを発表しています。

フライドポテトを作ってみようと思ったら

たかがポテトと思われる方もいるかもしれませんが、ポテト好きにはたまったものではありません。「こうなったら自分で作るしかないか」と思った私は「フライドポテト」「作り方」という2つのワードでGoogle検索してみました。いろんなレシピが並ぶ中、異彩を放っていたのが「フライドポテトを家庭で作るときのアドバイス」という農林水産省のページです。

レシピなのに写真はゼロ。ストイックなまでに文字のみで記された4ステップを抜き出すと…

1.まずは、原材料を吟味しましょう。
2.次は、じゃがいもの下ごしらえです。
3.準備ができたら油でじゃがいもを揚げます。
4.十分に火が通ったら、じゃがいもを取り出します。

https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_kiso/potato.html

これはもう、教えていただかなくてもわかるやつです(笑)。農水省は一体どんな目的でこのページを作成したのでしょうか?

もう一度よく読んでみると4ステップの詳細説明のすべてにアクリルアミドという聞き慣れない単語が出てきます。1の選び方では「冷蔵庫で長い間保存したじゃがいもは、糖分が増えているため、揚げたときにアクリルアミドができやすいだけでなく、焦げやすいため、できあがりの色合いも良くありません」、2の下ごしらえでは「電子レンジで加熱したりするとアクリルアミドができるのを抑えることができるという報告があります」、3では「油の種類は、アクリルアミドができる量にあまり影響しません」、4では「余計に加熱するとアクリルアミドがより多くできます」。

料理好きが気にするのは良いじゃがいもの選び方や油の量や温度、揚げ時間だと思うのですが、どうも農水省のレシピはアクリルアミドにやたらとこだわっているようです。

アクリルアミドって何だ?

では、アクリルアミドとは何なのでしょうか。その答えは当該レシピの上位カテゴリにありました。

食品を加熱調理する過程において、食品中では様々な化学物質が生成されたり、分解されたりしています。このとき生成する化学物質の中には、食品を食べやすくする、好ましい風味を醸し出す、保存性を高めるなど有用な効果をもたらすものがある一方で、私たちの健康に悪影響をもたらす可能性のあるものが副産物としてできることがあります。そのような加熱食品に含まれる有害化学物質のひとつが「アクリルアミド」です。

https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/index.html

2002年にスウェーデン食品庁とストックホルム大学が世界で初めて発表し、農水省も03年から本格的に調査研究をしているそうです。

もうピンときましたよね。農水省は有害化学物質のアクリルアミドを説明するためにページを作っていて、その中のひとつがレシピだったのです。食品中のアクリルアミドを低減するために「食品事業者ができること」「家庭で消費者ができること」とかなり詳細にていねいに説明してくれています。

当然、唯一のレシピにフライドポテトが選ばれたことにも理由がありました。アクリルアミドは主に特定のアミノ酸と糖類が、揚げる、焼く、焙るなどの高温での加熱(120℃以上)により化学反応を起こすことによって生じるとされていて、ポテトチップス、フライドポテトなど、じゃがいもを揚げたスナックや料理、ビスケット、クッキーのように穀類を原材料とする焼き菓子などに、高濃度に含まれていることが報告されているからです。

農水省が「食品事業者ができること」として示した事例に、日本マクドナルドが公開している「食材の道のりポテト篇」を重ね合わせてみるとより興味深い事実が見えてきます。

【流通貯蔵段階】
農水省「6℃未満で貯蔵された馬鈴薯の使用は避ける。農場から工場までの貯蔵条件を管理し、気温が低い場合には馬鈴薯を冷気から保護すること」→マクド「収穫されたじゃがいもは、倉庫で保管される場合があります。ここでは温度と湿度を徹底的に管理。土の中と同じ環境をつくり出し、じゃがいもの品質を保ちます」

【製造加工段階】
農水省「もし適切であれば、フライドポテトを下揚げすること」→マクド「マックフライポテトのあの独特の食感を生み出すために、カットされたポテトは下揚げされます」

やっぱりMサイズが食べたくなる

フライドポテトもポテチも健康シフトしてた

ちなみに農水省は市販のフライドポテトやポテトチップスを購入して、アクリルアミドの濃度を調査。2007年と比べて2013年以降は、アクリルアミド濃度の中央値が半分程度、平均値が7割程度減少していることも報告しています。知らぬ間にポテトが健康に良い方向に進化を遂げていたようです。となると早く食べたいですね、揚げたてのポテト…ポテト…ポテト♪(東スポnote編集長・森中航)

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