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ステージが生簀の上!?衝撃映像ばりにスベりまくった

 じわじわと、確実に、売れ始めているような気がしないでもないドキュメンタリー芸人・コラアゲンはいごうまん。東スポにおける〝実録連載〟を復刻しています。

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 数多いる芸人の中でもこの舞台に立ったのは僕だけでしょう。その日の会場は鳥取県米子市の海鮮居酒屋。店内は個室と小さいプールほどの生簀いけす、それをコの字に囲むカウンター席がありました。

「どこがステージなんやろ?」

 そう思ってたら店員さんがおもむろに生簀の上にコンパネ(板)引いて「どうぞ~」って…ここがステージ!? 長年芸人やってるけど生簀の上でしゃべったの初めてですわ。

 かくしてディズニーオンアイスならぬコラアゲンオン生簀が、15人のお客さんに囲まれ幕を開けました。結論から言うと衝撃映像ばりにスベりまくり。やっぱり生簀挟んでお客さんにしゃべっても一体感は生まれませんって。しかも、何が辛いってスベり続ける僕の足元をアジが優雅に泳ぐんです。

こんな状態

 でも、そんなシュールかつ地獄のような時間が20分を経過した時、一筋の光が。突破口は所属するワハハ本舗の演出家・喰始(たべはじめ)に「UFOを呼ぶ努力をしろ」と命じられた時のネタです。深夜の新宿中央公園のすべり台に登って「ベントーラ、ベントー」と小一時間唱えたらUFO来ずにパトカーが来た…って話。なぜかネタ振りの段階で既に食いつきがよく、ベントーラの時点ではお客さん全員が前のめりになってました。

「キターッ!!」

 勝利を確信した僕。で、パトカーのオチを言い放とうとした次の瞬間、奇跡が起きました。急に浮かんできたアジが苦しそうに口パクパクさせてゆっくり沈んでいったんです。そして、それを見た一人のお客さんがボソッと「オチ前にまさかの他界!?」。こんな新聞の見出しみたいな発言の後にどんなオチを言われても耳に入ってこないですよ~。

 結果、1時間フルでスベり続けたこのライブ。その正式タイトルがまたすごい。

「コラアゲンはいごうまんin生簀」。

 入っとるがな――。

◆コラアゲンはいごうまん 1969年生まれ。自ら体験した出会いやエピソードで観客に爆笑と感動を与える実録ノンフィクション芸人。著書に「実話芸人」(幻冬舎文庫)。


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