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ゲン担ぎに嫁姑問題…今日もジジババは卓を囲む

 今回もジジババの面白エピソードが炸裂です。各地のマージャン教室や大会に積極的に参加している「雀聖アワー」福山純生氏だからこそ拾えたネタでございます。

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東1局

 競馬、競輪、ボートレース、オートレース、パチンコ、パチスロ、宝くじ…。勝負事はもちろん、スポーツや仕事においても〝ゲン担ぎ〟をしている人は多い。

 無論、麻雀もしかり。たかが麻雀。されど麻雀。

 ジジイのゲン担ぎは多岐にわたる。夏でも冬でも対局中に牛乳を飲むジジイ。娘にもらった犬柄のネクタイを大会にしてくるジジイ。リーチ後に、胸ポケットに入れている孫の写真に触れるジジイ。

 バアさんたちのゲン担ぎは、色にこだわる傾向があり、服装のどこかにラッキカラーが潜んでいる。

 御年73。「リーチやで」と凄みのある発声をする大阪生まれのヨウコさん。ラッキーカラーは緑。緑のパンツに緑のリュック。緑の靴下に緑のスニーカー。冬場なら緑のセーター、夏場には緑のTシャツ。とにかくオールグリーン。下着の色まではわからんが。

 そんなヨウコさんが、一度だけ青いタートルネックを着てきた日があった。珍しいこともあるものだ。

 聞けば「孫が私とお揃いやって、誕生日にプレゼントしてくれたからしゃあないやろ」と嬉しそうにのたまうヨウコさん。

 だがその日。ヨウコさんは、こっぴどく負けた。守り知らずの攻め麻雀がすべて裏目。リーチをすれば追っかけリーチにやられ、ドラポンして押しまくっていたら、チンイツに放銃。揚げ句の果てにリーチ中、大三元にフリ込んだ。

 青いタートルネックをまとった真っ青な顔。

 翌週の出で立ちはオールグリーンに復活。青いタートルネックはいずこへ。怖くて聞けない。

いつかこんな手もアガれるかも!?

東2局

 御年70。教室に通い始めて2年目のカメさん。山菜採り仲間の友人から「長い時間を共有するから親睦が深まる」と聞いたことがきっかけで、麻雀を始めたバアさんである。

 昨年の年明け、カメさんは息子の嫁にボヤいていた。毎年正月に孫を連れて遊びに来るらしく、来るのはいいけど、旦那をはじめ、息子家族も食って飲んでの寝正月。嫁さんともウマが合わないらしい。

「味付けが根本的に違うのよ。ウチは旦那が北海道生まれだから濃いめ。息子の嫁は大阪生まれだから薄め。ウチでは煮物の味付けは濃いめだっていってるのに、いつも薄めにしちゃうのよ。ホント気が利かないのよね」

 だが今年は様子が異なった。ボヤくどころか、カメさんの目は輝いていた。

「今年は人生でいちばん充実した正月だったわよ」

 聞けば、旦那と息子と息子の嫁と初めて卓を囲んだという。

「嫁が麻雀できるなんて知らなかったのよ。ワタシが麻雀教室に通ってるって話したら、一緒にやりましょうなんて言い出して。ワタシほら、ほとんど鳴かないじゃない。そしたら嫁も同じメンゼン派だったのよ。旦那と息子はポンチー祭り。よくそんなに鳴くものがあるわねなんて、嫁と意気投合しちゃって」

 しかも小学生の孫に、「麻雀できるなんてお婆ちゃんスゴイ!」と尊敬の眼差しまで向けられたという。「初めて嫁と心が通じ合えた気がしたわよ。麻雀習っててホントよかったわ」と語るカメさん。ボヤキが歓喜に変貌。ますます長生きしそうである。

◆福山純生(ふくやま・よしき)1970年、北海道生まれ。雀聖アワー主宰。全日本健康麻将協議会理事。健康麻将全国会新聞編集長。好きな役はツモ。


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